魅力的な石畳の中庭、マレ地区ダンスセンター(Centre de danse du Marais)の奥に、三ツ星シェフ、マウロ・コラグレコ(Mauro Colagreco)のパリの住所、グラン・クール(GrandCœur)がある。星はメニューにはないが、目でも舌でも楽しめる。
GrandCœurは、秋の会議に最適な歴史的な環境で 、お客様を温かくお迎えします。高い天井、むき出しの石造り、100年以上前の梁、冬になるとすぐにつけられる鋳鉄製のラジエーター、大理石のテーブル、穴のあいた色合いの鏡、大きなテラスに面したピクチャーウィンドウ(夏は日当たりがよく、冬は屋根付き)。
ロイヤルブルーのベルベットのバンケットでくつろぎながら、 フランス料理、とりわけブルジョワ料理の偉大な古典を誇るメニューを発見する。 カニ、セロリ、青リンゴ、ディルの レムラード(23ユーロ)などは、季節外れのように思えるが、非常にあっさりしており、この後のランチに選んだ料理を考えると、ちょうどよかった。
というのも、今、そして暖かい季節がやってくる3月中旬頃まで、グラン・クールには絶対に外せない料理があるからだ。家族団らんの象徴であり、友人たちと分かち合う真の喜びでもあるグラン・クールのポトフは、究極のコンフォートフードだ。ポトフの起源をさかのぼれば、中世の農民たちは数日間、ポトフを食べ続けたという!
マウロ・コラグレコのポトフは1人前45ユーロで、1人のゲストにも、8人までのテーブル全体にも提供される。ミシュランの星付きシェフが シンプルなポトフを提供することは不可能だ。だからグラン・クールでは、 ポトフは 2つのコースで提供される。最初のコースは春雨入りのコンソメで、昔ながらのかわいらしいスープ皿に盛られ、大きな骨髄とニンニクとローズマリーのトーストが添えられている。幸先の良いスタートだ。
熱々の鋳鉄製のキャセロール皿にたっぷりと盛られた ポトフは、自宅のように直接テーブルに置かれる。牛肉は限りなく柔らかく、長い煮込み時間のおかげで砂糖漬けに近い状態になっているものもある。コラグレコ・シェフに期待したのは、この料理にさまざまなソースや薬味(グリーン・パセリ・ソースや野菜のピクルスなど)を添えることだった。
一人前のポトフだが、二人で食べても十分満足できる。子羊のコンフィ(35ユーロ)もたっぷり盛られ、サツマイモ、ナツメヤシ、黒ゴマのソースが添えられ、甘酸っぱさとうま味を見事に使い分けている。デザートを食べる余裕はなかった。
グラン・クールは 大きな心を持った住所なのだ。