ジョナサン・ミレーの 長編デビュー作は、 力強く緊張感のある作品だ。前回のカンヌ国際映画祭 批評家週間のオープニング作品『Les Fantômes 』は、2024年7月3日にフランスの映画館で公開される予定だ。この物語は、バッシャール・アル=アサド政権の元拷問者たちを追跡する亡命シリア人の 勇気ある一団が 、身分を偽ってフランスやその他の国に潜伏しているという、まさに現実の物語である。
ハミド(アダム・ベッサ、冷酷で非の打ち所がない)はこの秘密組織のメンバーの一人だ。彼自身、サイドナヤ刑務所で自分を地獄に突き落とした戦犯を探している。虐待の間、彼は目隠しされていたが、声と匂いで彼を認識できると確信している。かつての面影はないが、彼はストラスブールまで追いかけ、そこで、模範的な大学生に扮した自分を苦しめたハルファズ(タウフィーク・バルホム)を見分ける。
真のスパイ映画のように撮影された『亡霊たち』は、生々しいホラー描写を避け、狂人たちの犠牲となった若者たちがテープレコーダーに録音した、彼らが受けた残虐行為、屈辱、体罰の詳細を語る悲痛なナレーションを使用することを好んでいる。同様に、この映画では組織のメンバーはほとんど姿を見せず、彼らのやり取りは『 コール・オブ・デューティ 』を背景にした音声による会話に限られている。
ペースは穏やかで、ナレーションはハミッドの内面に芽生えつつある虚無感に余裕を持たせているが、サスペンスはやがてストラスブールのスナックバーでの被害者と処刑される可能性のある犯人との息もつかせぬ対決へと 危険な盛り上がりを見せる。この秘密結社には実権はないかもしれないが、その大義名分は極めて正当だ。犠牲者の仇を討つためではなく、たとえその考えが一部の人々の頭をよぎったとしても、彼らと同じ武器を使うことを避けながら、戦争犯罪人たちに正当な有罪判決を下すためなのだ。