パリでは、多くの人が頭を下げ、スマホに釘付けになって歩くという残念な傾向がある。しかし、この習慣はしばしば美しいもの、時には驚くようなもの、思いがけないものを見逃してしまう。パリ8区、より正確にはフォブール・サントノーレ通り 77番がそうだ。見上げると、ビルの3階から椅子の山がぶら下がっているのが見える。
よく見ると、このインスタレーションは有名なインテリア・デザイン・ハウス、リエーグルのファサードに吊るされている。リエージュが右岸に構えるギャラリーは、日本人アーティストの 川俣正を招き、アート、建築、デザイン、日常生活の関係を探った。1953年北海道生まれのこのアーティストは、この会場のために木製の椅子を使ったオリジナルのインスタレーションを制作することを思いついた。
川俣正は、板材、割り箸、木箱などの廃材を組み合わせて制作されるモニュメンタルな サイトスペシフィック・インスタレーションで知られている。今回の展覧会では、「Nest in Liaigre」と題し、川俣正がエマユスから集めた約100脚の椅子をもとに作品を制作した。
ギャラリーの美しいファサードから吊るされた椅子は、哲学的、社会的、経済的、政治的な問いを投げかけながら、私たちを取り巻く環境に目を向けさせる。建築物とはまったく対照的なこの巣のようなインスタレーションを通して、作家は幸福と平和の象徴である 鳥の巣へのこだわりも見せている。
さらに好奇心旺盛な方は、この椅子の巣の隠された部分を建物内で発見することができる。ただし、椅子のインスタレーションは2023年12月12日までファサードで見ることができる。
開催日および開催時間
から 2023年10月23日 へ 2023年12月12日
所在地
リアイグレ・ハウス
77 Rue du Faubourg Saint-Honoré
75008 Paris 8
公式サイト
www.studioliaigre.com