世紀の彗星を垣間見るには、今週末は見上げるしかない。2023年1月に発見された土山アトラス彗星は、2024年10月11日の日没直後から見える。肉眼でも 双眼鏡でも、西南西の地平線方向で観察できるだろう。その全貌をお伝えしよう。
土山アトラスは天文学者によって「世紀の彗星」と評されている。直径20～40キロの核を持ち、9月27日に太陽に接近通過して生き残った。肉眼で見えるこのタイプの彗星は、100年に1度か2度しか発生しない。
この光景を楽しむには、日没直後の西南西の地平線を見ればよい。彗星は最初は地平線の低い位置にあり、日が暮れるにつれて少し上がってくる。双眼鏡や小型の望遠鏡があれば観察しやすいが、条件が良ければ肉眼でも見えるだろう。
2024年10月11日（金）から2024年10月21日（月）まで毎晩、数日間観測できる。最大輝度は10月12日頃と予想される。10月15日（火）には特に明るくなり、前日に地球が軌道面を横切ったときにはっきりとした線ができる。それ以降は、太陽から遠ざかるにつれて暗くなり始め、特殊な装置なしでは観測が難しくなる。
10月は日没が早く、薄明が短いので観測しやすいだろう。ただし、10月17日の満月は彗星の光度が落ちて観測しにくくなるので注意。
土山アトラス彗星は、太陽系の遠い領域であるオールトの雲から原始物質を運んできた。その塵とガスの尾を観測することで、科学者たちは太陽系を形成した始原物質の組成についてより詳しく知ることを期待している。この「氷の玉」は、貴重な科学的宝物を秘めている可能性がある。私たち自身の組成を理解し、始原物質と呼ばれるものを調べるまたとない機会を与えてくれるのだ。望遠鏡を使って、彗星核から放出される物質の組成を精査し、プルームに含まれる分子を分析することで、核の組成を追跡し、太陽系の天体を形成した基本的な元素を明らかにすることができる。
彗星をよく見るには、晴天が必要なのは言うまでもない。晴れていれば、光害の少ない地域では肉眼でも双眼鏡でも見ることができるだろう。
要するに、天文学に興味のある人なら、この例外的な彗星を観測するために、今週の金曜の夕方に上空を見上げる必要があるということだ。
