ある朝目覚めると、パリのブルス広場に キッド・クディの銅像が?それが今週お披露目された特異な芸術的出来事だ。アルバム『Insano』の発売日である1月12日に公開されたこの堂々たる姿は、アーティストの大胆さと創造性を象徴している。
高さ10メートルを 下らないこの彫像は、ダークな色調で、救世主的要素と悪魔的要素を組み合わせた姿勢をしている。キッド・クディの手のひらは天に向け上げられ、頭は謙虚か敬虔のジェスチャーで下げられている。光る目と照らされた口が、神秘的で妖艶な雰囲気を醸し出している。
夜になると、彫像に命が吹き込まれ、衝撃的な光景が繰り広げられる。目は赤く光り、口は光線を放ち、彫刻に極悪非道な魅力を与える。
ご想像の通り、このインスタレーションは単なる彫像ではなく、「Insano」発売のための入念に練られたコミュニケーション行為である。このラッパーは、地下鉄Bourse駅を出てすぐのPalais Brongniartの前という戦略的な場所を選び、彼の作品の視認性を最大限に確保した。型破りなアプローチで知られるキッド・クーディは、ニューヨークとロサンゼルスでも同様のインスタレーションを計画しており、グローバルなアプローチの一環として、パリの都市景観にその足跡を残している。
この展覧会のためにパリを選んだことは、取るに足らないことではない。ファッションに情熱を注ぎ、パリ・ファッションウィークの常連でもあるキッド・クディは、この街と特別な絆を持っている。メンバーズ・オブ・ザ・レイジのアーティスティック・ディレクターであり、リーバイスの顔でもある彼は、映画やテレビの世界にも進出し、HBOのシリーズ『We Are Who We Are』に参加したり、Netflixのアニメ映画『Entergalactic』を開発したりしている。
21曲入りのニューアルバム『Insano』には、エイサップ・ロッキー、トラヴィス・スコット、ファレル・ウィリアムスといったアーティストとの格調高いコラボレーションが収録されている。また、"Electrowavebaby "を筆頭に、1990年代を彷彿とさせる楽曲も収録されている。キッド・クーディが40歳の誕生日を迎えるにあたり、このアルバムは彼のキャリアの転機となるかもしれない。
パリにあるこの仮設像は一見の価値がある。印象的で驚くべき、今週の珍しい発見だ。すぐに解体されてしまったが、パリのファッション・ウィーク中に別の場所で見つかるかも?
写真:© Raphaël Métivet