12番線の終点からオーベルヴィリエ駅方面に1駅行ったところにあるエメ・セゼール駅は、首都の地下鉄網で供用開始される最後の2駅のうちの1つである。2022年5月31日、この路線の新しい終点であるMairie d'Aubervilliersと同時に開業したこの駅は、サン=ドニ運河からほど近いオーベルヴィリエのアンリ=ロール=タンギー広場にある。この駅はパリの地下鉄の307番目の駅となり、当時フロント・ポピュレールを終点としていた12号線の延長の一部として建設された。
当初、この駅はポン・ド・ステインと呼ばれる予定だったが(ウィキペディアによる)、最終的に、駅からほど近い場所にある同名の広場にちなんで、 エメ・セゼールと名付けられた。エメ・セゼールはマルティニーク出身の詩人、 作家、政治家で、1913年に生まれ、2008年に亡くなった。レオポルド・セダール・センゴールや レオン・ゴントラン・ダマスとともに、 ネグリチュード文学運動の代表者の一人であり、生涯にわたって植民地主義に反対する運動家であった。中学卒業後に渡仏し、名門リセ・ルイ・ル・グラン、ソルボンヌ大学、パリの高等師範学校(ENS)で学び、植民地イデオロギーの人種差別に反対する立場をとり、新聞『レチュディアン・ノワール』を創刊した。その後、植民地主義イデオロギーを糾弾する目的で、ネグリチュード文学運動の原点に立つ。
47年以上にわたりフランス国会議員を務め、55年以上にわたりマルティニークのフォール・ド・フランス市長を務めた。2008年、深刻な心臓病を患った後に死去し、 パンテオンに追悼の碑文が建てられた。オーベルヴィリエでは、広場に彼の名を冠し、2022年5月に開通した地下鉄12号線の駅にも彼の名を冠した。地下鉄駅の外壁はガラス張りで、詩人の作品からの抜粋が描かれている。