単なるタイルではない、 パリのメトロタイルは、間違いなくこの街の遺産の一部だ。現在、インテリアブランドの中には、バスルームと同じタイルを販売しているところもあるが、メトロタイルは歴史に彩られ、地下鉄の駅に初めて登場してから1世紀以上経った今でも、大いに流行している。
この「メトロ・タイル」を考案したのも、パリの地下鉄駅のエントランスのデザインで知られるフランスの アール・ヌーヴォー建築家、ヘクトール・ギマールだった。彼は、光沢のある仕上げと 面取りされたエッジを持つ 長方形の 白いタイルを考え出した。最初の路線が開通した1900年から、パリの地下鉄網のすべての駅で使われるようになった。白いタイルは、暗い地下鉄の通路に光沢を与え、衛生的で洗いやすいという利点もあった。
当時、パリの陶磁器専門会社ブーランジェ社( )がこの巨大プロジェクトを担当していた。最初の地下鉄駅で使用された白い釉薬タイルは、1950年代に徐々に オレンジ色のタイルに取って代わられ、1970年代に装飾家ジョゼフ=アンドレ・モットによって最新のタイルに戻された。1900年にエクトール・ギマールが選んだメトロのタイルは、時代を超越した パリのクラシックなスタイルで、多くのバーやレストランなどのインテリアに誇らしげに飾られている。