サンジェルマン・デ・プレの目と鼻の先にある茶房 「寿月堂」が店を構えて15年になる。 お茶のブティックであると同時に、シックで落ち着いた雰囲気の ティールームでもあるこの店では、最高級のお茶を味わいながら、ビスケットや繊細な和の風味のスイーツを味わうことができる。
月を眺める場所」という意味を持つこの ティールームは、1854年に東京で創業した海苔の商社、丸山海苔がオープンしたこともあり、商品の仕入れ先を熟知していると言わざるを得ない。寿月堂の代表である丸山真紀が考えていることはただひとつ、パリの人々に 日本茶とそれにまつわるあらゆる先祖伝来の伝統を紹介することだ。
日本人建築家、隈研吾氏による洗練されたデザインのサンジェルマンのブティックは、2つのエリアに分かれている。1階では、棚にメゾンの お茶の数々が陳列され、たくさんのカップや急須が、それぞれより美しく並べられています。
控えめで静かな地下室では、伝統的なオブジェの展示、レジデンス・マスターによる茶道、日本茶の紹介(1時間50ユーロ)、抹茶の発見会(1時間50ユーロ)、コンサートなど、お茶の芸術の多様性を紹介するさまざまなイベントが年間を通して開催されている。
寿月堂では、静岡、京都、鹿児島の3つの産地から取り寄せたさまざまな 緑茶を提供している。皇室献上煎茶の「春」、上煎茶の「月」、玉露の「御所」、そしてもちろん必食の玄米茶、ほうじ茶、抹茶は、心地よく空気を含んだラテで楽しめる。
マドレーヌ、どら焼き、ショートブレッド、海苔をお煎餅のようにつまめるもの、アイスもち、パリの質の高いシェフや職人による実に珍しい風味のアイスクリームなど、どれも繊細で丁寧に作られた付け合わせとともに、単品でもテイスティングメニュー(17~25ユーロ)としても楽しめる。
例えば、ロマン・ガイアのパティスリー「TOMO」の抹茶、玄米茶、海苔のショートブレッド、「RRRAW」の玄米茶とそばのミニトリュフ、そして、抹茶、ほうじ茶、玄米茶、ゴマ入りのアイスもちも作って いる「エンツォ&リリー」の素晴らしい玄米茶アイスクリームは、まさに驚嘆に値する。繊細な味わいの体験だ。
サン・ジェルマン・デ・プレ地区は 、サント・アンヌ通りにある有名な リトル・トーキョーに似ている。ラーメン、寿司、さんど、どら焼き、餅......。そこでマキ・マルヤマは、2023年5月1日から7月15日までの間、この地区でぜひ食べていただきたいお店を掲載した小冊子「さくらパスポート」を作成し、この日本村を宣伝することにした。購入ごとにパスポートにスタンプが押され、TOMOでの餅つき教室、寿月堂での抹茶教室、日本旅行など、さまざまな賞品が当たる。