パリのある地区には、インド料理レストランが数多くある。ストラスブール・サン・ドニとそのパサージュ・ブラディを思い浮かべるとよい。
しかし近年、多くのインド料理レストランが、自らのルーツを捨てることなく、コンテンポラリーなスタイルを取り入れている。例えば、 シェフ、マノジ・シャルマの 見事なレストラン、ジュガードは、パリのお気に入りのインド料理レストランにすぐに選ばれた。
パリ11区、サンモール/サンアンブロワーズ地区では、バスティアン・ペクーとアレクシス・グラシオの発案によるパリの 新しいデリー・ バザール(Delhi Bazaar)がオープンし、スパイシーな新風を吹き込んでいる。
この大規模なプロジェクトに必要な条件はただひとつ、伝統的な味を守りつつ現代的なタッチを加えることのできるシェフと組むことだった。すでに15区の「ラスナ」で指揮を執っているバングラデシュ人のエクバル・ホセインは、ロンドンのいくつかのインド料理店で10年近く修業を積み、「デジ・ロード」の厨房で......の副料理長として働いていた。マノージ・シャルマ......さてさて。
3人の仲間はユーロスターに乗ってイギリスの首都に向かい、ブイブイからミシュランの星付き店まで、インド料理レストランを次々と訪れて(1日に3軒も!)、デリー・バザールの新メニューに使う木の種類を決めた。まず第一に、インド料理の固定観念から脱却したいという願望があった。インド料理といえば南部のレシピばかりで、無菌的で、数種類のソース、数種類の肉、少なすぎるスパイス、多すぎる砂糖に限定されがちだ。
もちろん、シーラのスパイスは例外で、インド亜大陸の小規模生産者の協同組合から有機栽培または持続可能な農業によって調達されている。有機ブロッコリーはイル・ド・フランス産、羊肉と牛肉はアヴェロン産、チャイ用の牛乳とチャツネ用のヨーグルトはパリからわずか17kmの場所で生産されている。
インド料理を一新するだけでなく、3人は内装も一新した。金箔を貼ったアイコン、壁のタージ・マハルの写真、ぶら下がったアクセサリー、お香の匂いはもうない。北インド料理の中心地であるオールド・デリーの古いバザール、チャンドニー・チャウクにインスパイアされたデザインで、 ドレナヴァン・スタジオとのコラボレーションによる デリー・バザールは、白い大理石のバー、レッド・フォートのムチャラビエを彷彿とさせるレンガの壁、 ストリート・フード・コーナーをイメージしたオープン・キッチン、あちこちにあるオブジェをセンスよく選んでいる。
ソリッド」な側面に移る前に、「リキッド」な側面を見てみよう。カクテル・メニューもまた、インド料理の風味や製品を簡単にミックスして、物事を揺さぶっている。カルダモン・ミュール」(ウォッカ、ジャスミン・シロップ、ジンジャー・ビール、ライム、カルダモン・エッセンス)、「デリー・バザール」(フレンチ・ジン、トリプル・セック、金柑、オーガニック紅茶、フェヌグリーク・シロップ、ライム)など、価格はそれぞれ9ユーロと13ユーロ。もちろん、ジュリエット・ランベール氏セレクトのグラスワインや、ノンアルコールドリンクの ラッシーや自家製チャイを選ぶこともできる。
さて、いよいよお待ちかね、3つのセクションに分かれたメニューの登場だ:インド人が四六時中食べる香ばしいフィンガーフードで、ロンドンのレストランではすでに広く食べられている「チャート」、400℃以上に上昇する伝統的なテラコッタ・オーブンで肉や野菜を焼く「タンドール」、淡白なインド料理のイメージとはかけ離れた「カレー」と「ビリヤニ」だ。プレーン(2ユーロ)、ガーリック(2.5ユーロ)、チーズ(3ユーロ)、そして究極のコンボ、ガーリック&チーズナン(3.5ユーロ)は必食だ!
小麦の外皮にミントとコリアンダーのチャツネ、タマリンド、ヨーグルトをトッピングしたダヒ・プリ(6ユーロ);タンドールで調理したもも肉を丸ごとバター、カシューナッツ、フェヌグリーク入りのトマトソースに浸した文句なしのバターチキン(13ユーロ)、タンドールで調理した美しい鶏胸肉にカルダモンとアーモンドのクリーミーなソースをかけたチキン・コルマ(16ユーロ) 。
まず、カルダモンとアーモンドのインド風アイスクリームをサンデー風にアレンジしたアイスクリーム(5ユーロ)と、自家製フロマージュ・フレに甘く煮詰めたミルクをかけた、ちょっと物議を醸し出しそうなインドの伝統的デザート、ラスマライ(7ユーロ)。
陽気なバザールは、また来たくなる!