金色のベルベットのバンケット、ライオンの頭を壁掛けランプにしたものなど、アジアン・テイストを取り入れた風変わりな内装と、幻想的なモチーフが描かれた天井のオルグイユは、入った瞬間から驚かされる。
厨房は、まるで酒場のような一方通行のガラスで誰からも見えない小さな秘密の部屋に面しているが、コンロに向かって開いており、トゥール・ダルジャンや プラザ・アテネの厨房で働いた経験を持つ 27歳の若き シェフ、エロイ・スピンレールによる見事な6皿のグルメコース料理を少人数で楽しむことができる。
ビストロ側のメニューはまったく異なり、ゲスト同士でシェアする小皿料理が中心だ。ここでは、賢明でこだわりのある料理が王様であり、頭からつま先まで、小規模生産者から仕入れた 上質な食材は 、その謙虚な召使である。チーズはフレスコレのチーズ工房から、魚介類はフランス北部の責任ある漁業から、果物や野菜はセーヌ・エ・マルヌから。
メニューは、カラフルで難解なタロットカードの 形をした独創的な方法で提示され、カードを引くと、これから始まる食事の色が告げられる。そしてその食事は、独創的であると同時に魅惑的だった。クリームチーズに浸したとてもエッチな鴨のクロケタ(11ユーロ)から始まり、スノー・ピーとレモングラスを添えたボリュームたっぷりの ロブスターのラビオリ(18ユーロ)、とてもとろけるような漆塗りの照り焼きスタイルの ブルトン・タコ(16ユーロ)など。
ホワイトアスパラガス、クレメンタインとパルメザンチーズ(14ユーロ)、燻製ポテト(8ユーロ)と卵黄のマリネ、そして何と言ってもフランス美食へのオマージュである鳩のハーフピティヴィエ(18ユーロ)も大好きだ。続いて、メゾン・アイタナの セラーノ・ハムの薄切り(9ユーロ)を数枚つまんでから、デザートに移る。
チョコレート・ブリオッシュ・ペルデュ、ラブネ・アイスクリーム添え(8ユーロ)、そして何と言っても 味噌タルト・タタン(8ユーロ)。エロイ・スピンラーという名前を覚えておいてほしい。