時には、自分の気持ちを表現するのに、何時間も独り言を言う必要はない。フーガは、私たちが今年 発見した最も素晴らしい料理のひとつである。エスト駅の目と鼻の先、マローの代わりに最近オープンしたこの全く活気のある 新しいレストランは 、ヴィクトール・バラトン=ドラットと 港谷均の共同作品である。
前者はセミーラで、後者はMOFエリック・トロションの指揮のもとフレディーズで働いていた。ダイニング・マネージャーと料理長を兼任するふたりは、フーガを、近所のビストロのような外観の裏側に、明らかに多くのものを備えた、和気あいあいとした場所としてイメージした。
フランス美食への情熱を胸に、渡仏してまだ10年足らずの日本人シェフ、 港谷均は、母国の技法や料理を随所に取り入れた、 高級レストラン顔負けのビストロノミックな料理を 提供している。
アラカルト・メニューと、アラカルト・メニューのすばらしさを解剖できる 5コースのテイスティング・メニュー(70ユーロ)から選べば、季節感とロカボにこだわった フーガを目を閉じて発見できる。ランチタイムには、前菜・メイン、メイン・デザートのランチメニューが25ユーロ、 前菜・メイン・デザートのランチメニューが30ユーロと、より手頃な価格で体験できる。
コンクリート床、石造りの壁、むき出しの梁、前オーナーから受け継いだ魅力的なマドのビュッフェ、厨房と向かい合わせで食事ができるカウンターなど、レストランの内装はすっきりとしているが、料理に関してはシェフのイマジネーションはとどまるところを知らないようだ。例えば、 ウズラの豚肉詰め(今年食べた料理のトップ10に入る;32ユーロ)は、そのように宣伝されているが、実際は詰められる前に完全に骨抜きにされ、その後何事もなかったかのように再構成されている。
ペアリングに創意工夫を凝らし、ドレッシングに厳しい 皆谷仁シェフは、ソースやジュースに絶大な技量を発揮し、使用する食材やレシピを通してフランス料理に敬意を表し、彼独自の方法でフランス料理に敬意を表するという点において、寛大さと真の技術力を示している。
現在80のリファレンスを誇るセラーや、温かく情熱的に料理について語る ビクターによる行き届いたサービスにも、同様の配慮がなされている。下記のテイスティング・メニューをご覧ください。
* * *
イワシのグリル、ブルーポピー、ネギのタルタル、アーティチョーククリーム生姜の砂糖漬け、柿のピクルス、シソ、ポン酢添え
鶏肉のコンフィのラビオリ、鶏もも肉セロ リアックのピュレ、フレッシュ・トリュフ・ソース
アカムツ、ブロッコリーとニョッキのグリル、ブロッコリーとディルのピュレ柚 子ホワイトバター、ブイヤベースソース、青リンゴ
ウズラの豚肉詰め、ニンジンのピュレカボチャのグリル、クルミ、スパイシージュース
シトラスクランブル、レモンクリームヨーグルトアイスクリーム、エストラゴンシロップ
* * *
フーガは、その美しさとともに、 この地区で必ず 訪れるべき 場所になるだろう。 ミシュラン・ガイドが、少し道を外れることを許せば、報われるかもしれない。