アルザス料理といえば、ザウアークラウト、ザウアークラウト、ザウアークラウト......というイメージしかないのなら、サン・マルタン運河から2本入ったパリの街角に登場したばかりの「エルサス」は、そんな先入観に終止符を打つのにうってつけのレストランだ。
アルザス料理は、食欲をそそる心地よい ザワークラウトや、フランメクエッシュ、ベッケオッフェ、ナックだけではない。エルサスの代表であるギヨーム・キュシュの指導の下、料理はよりビストロノミックな様相を呈しさえする。
この生粋のアルザス人は、ソムリエのキャロリーヌ・フルトスの協力を得て、レストランの心臓部であるワインを中心としたアドレスを構築した。彼女がデザインしたワインリストは、従来のものから オーガニック・ヴィンテージまで、ビオディナミのボトルから自然派ピフまで、どのドメーヌもアペラシオンも制限なし。
もちろんワインリストは、定番のリースリングやピノ・グリといった 辛口や半辛口の白ワインが中心だが、ゲヴュルツトラミネールを筆頭に、この地方で有名な 甘口やシロップのようなワインもある。しかし、あまり知られていないキュヴェや、マルセル・ウィンドホルツのかわいらしいフランボワーズなど、食事の最後を締めくくる繊細なオー・ド・ヴィーを発見するチャンスもある。
エルサスでは、毎月異なる アルザスのワインメーカーを招き、彼のワインを引き立てるオーダーメードのメニューを作っている。伝統的な料理とワインのペアリングのように、料理とワインのペアリングを逆さまにするのではなく、ワインが主役なのだ。これは、ワインに王としての正当な地位を与え、同じくモダンな 料理に女王としての正当な地位を与える現代的なビジョンであり、このジャンルの時に古臭い決まり文句から解放される。
デュカスグループで長年働いたシェフ、ステファン・カペは、信頼できる小規模な生産者や職人から仕入れた最高級の 地方食材を使い、伝統的なアルザス料理にヒントを得たレシピで、 ビストロノミックなひねりを加えながら、その食材を(非常に)自由に拡大している。
カボチャのヴルーテ、ブラウンビール添え(13ユーロ)は、ミュンスターチーズとジンジャーブレッドのクルトンで飾られ、豚バラ肉のコンフィ(25ユーロ)は、米酢で煮込んだレッドキャベツの上に載っている;時折ビストロ料理も登場し、骨髄の上に牛肉のタルタル(20ユーロ、ポム・パイユもたっぷり)をのせた驚きの(そしてとてもボリュームのある)料理や、見事な チョコレートのスフレ(15ユーロ)などがある。
しかし、どうしても外せないデザートがあるとすれば、洋梨のソルベとリースリングのクーリが添えられた クグロフ・ペルデュ(14ユーロ)だろう。悪魔的だ。
2月29日のザワークラウトを皮切りに、このレストランでは伝統に忠実な郷土料理を毎月一晩提供している。アミューズ・ブーシュ(タルト・フランベ風グジェール)から最後の仕上げ(帰り際に食べるブレデレ)まで、エルサスはパリにある小さなアルザスのようだ。